『それでは、死りとりゲームを始めましょう!』
元気のいいアナウンスが、ゲーム開始を告げる。
愛海を睨んでいる圭子と、素知らぬ顔をしている愛海と、そんな2人に挟まれている私。
唯一の救いは、祐希が頷いてくれたことだ。
もう誰も死なせたくない。
それには、皆んなで協力する必要があるのに…。
圭子は毛嫌いしているけど、愛海にだっていいところはある。
せめて、愛海が変な気を起こさないよう…【り】に繋げられない言葉で始まるのが理想だ。
私たちは、固唾を飲んで初めの言葉を待ち構えた。
『さぁ、今回は【さ】から始まります!よーいスタート!』
始まりの言葉は【さ】だ。
比較的、探しやすい。
パッと思いつくだけでも『サッカーボール』や『酒』なんかも職員室に行けばあるかもしれない。
逆に【さ】で始まって【り】で終わるものは、すぐには浮かんでこない。
ここは愛海が良いパスを圭子におくって、ギスギスした2人の関係も修復してほしいけど…。
愛海は自分の鞄の中を漁っている。
あっ、そういえば。
愛海は少し前、動物のキーホルダーを集めることに凝っていた時期があった。
だからそれを──?
しかし、私の考えは甘かった。



