えっ、また【り】なの?


この前の死りとりゲームでも、確か愛海は『かぜぐすり』と答えた。


2回続けて同じ文字で終わるなんて…。


「お前、わざとか?」


「私を怒らせると怖いんだから」


愛海はタバコを捨てると、憎々しげに上靴で踏み潰した。


自分のことを名前で呼ぶ愛海が『私』という。


それはまさに怒りのあらわれだ。


別れを切り出した良一に、しりとりでやり返した。


「り、り、り」


文句を言う時間ももったいないと思ったんだろう。


良一はすぐにゲームモードに切り替えて【り】から始まるものを探し始めた。


前は辛うじて『りんごあめ』で逃れたけど、考えてみたらあまりない。


しりとりは【る】が鬼門だという。


でも学校内に限るなら【り】が危ないんじゃないか?


「良一、もう時間がないぞ」


祐希が声をかける。


残り時間はあと【05:12】だ。


「分かってる!見つからないはずない!」


そう、一個くらいなら思いつく。だって、教室だけじゃない、学校内で見つければいい。


だから一個くらい…。


そう思いつつ、私もなにも思い浮かばなかった。


「うそだろ…」


絶望的な声で、良一が呟く。


『タイムオーバーです!』