「祐美、ちょっと付き合って!」


放課後、愛海に強引に腕を掴まれて教室を出た。


「えっ、どこにいくの?」


「話つけに行くの!」


そう言って廊下をぐんぐん進んでいく。


凄い剣幕で向かった踊り場に、古城怜華が佇(たたず)んでいた。


ただ立っているだけなのに、凛として絵になる。


でも「話ってなぁに?」と、にっこり笑う怜華の目だけは決して笑っていない。


「あんた、人の彼氏に手を出すなんていい根性してんじゃない!」


「彼氏ってまさか、良一くんのこと?」


「気安く名前を呼ぶなよ!」


今にも食ってかかろうとする愛海を、私は食い止める。


「でも古城さん、愛海たちが付き合ってるのは知ってたでしょ?クラス公認なんだから」


冷静に話し合おうと私が間に入ったけど__。


「私は公認した覚えはないし、恋愛は自由でしょ?」


「良一は愛海の彼氏なの!」


「自分のことを名前で呼ぶような女、良一くんには相応しくないわ」


「お前、一回殺してやろうか!」


完全に頭に血が上っている愛海が、私の制止を振り切って、怜華を突き飛ばした。


「いたっ!」


怜華が床に倒れ込む。


「おい!なにすんだよ!」