『それでは、死りとりゲームを始めましょう!』


異空間でも、愛海はまだ良一を睨んでいる。


『最初の文字は【か】です!【か】から始まるモノを探して下さい!よーい、スタート!』


ゲームが始まった。


【か】は簡単だ。


『カバン』や『紙』など、すぐに見つかるものばかり。


それなのに愛海は動かず、ずっと良一に恨めしい視線を送っている。


よっぽど浮気のことが腹立たしいんだ。


よりによって、その相手が怜華ならなおさらのこと。


「愛海、時間なくなるよ?」


「…分かってる」


ブスっと答える。


「だから愛海、違うんだって!浮気じゃない!」


弁解をする良一に「そうだよ!愛海の勘違いなの」と私は加勢をする。


話し合いはまだゲームの後ですればいい。


今はとにかく、しりとりを進めないと。


「浮気じゃなくって、古城さんに──」


「良一」


愛海が私を遮って、彼氏の名を呼んだ。


「な、なんだよ?」


「なにか気づかない?」


「えっ、なにか?」


「愛海について、なにか気づかない?」


潤んだ目で、首を傾げる良一を見つめる愛海。やがて「はぁ〜」とため息をつき、カバンに手を突っ込む。


「気づかない良一が悪いんだから」