「俺は答えないからな!」


そう宣言し、先生は椅子に腕組みをして座った。


どうやら本当に、わざと失格になるつもりらしい。


「ねぇ、愛海」


私は愛海を引っ張って、教室の隅に移動する。


「なにかおかしくない?」


「なにが?」


「なんでタマゴなんか持ってたの?ゴーグルも」


「あぁ、あれはね…仕込んだの」


悪戯っぽい微笑みを浮かべて、私に耳打ちする。


「だって【た】から始まるって分かってたから。私がたまごで、良一がゴーグル。でも次が先生で乗り気じゃないからさ、祐美まで打ち合わせできなかったの」


「それって、ズルじゃないの?」


「仕込んだことなんか分からないって。だから先生には抜けてもらったほうがいいかも。そのほうが確実にクリアできんじゃん?」


成績は悪いほうなのに、こういったことには頭が働くらしい。


確かに先生がいると、テンションも下がるっていうか。


今も目を閉じて、時間がなくなるのを待っている。


「先生、時間なくなるけど?」


圭子が声を掛けるも、先生は眉一つ動かさない。


本気でゲームから抜ける気らしい。


そしてとうとう…。


『タイムオーバーです』