でも、先生の命令は現実になるかもしれない。
「ご?」
良一が首を傾げているからだ。
前回のしりとりも、愛海は『りんご』と言い【ご】で終わった。
狙ったわけじゃないだろうけど、また【ご】だ。
しかも『゛』だから見つけにくいのかもしれない。
「ごー?」
傾げる首の角度がさらに曲がる。
【こ】じゃダメなんだ。あくまで【ご】で始まる、学校の中にあるもの。
「良一、時間がないぞ」
祐希が声を掛ける。
「えっ、やば!」と確認したスマホの画面には【06:51】とあった。
あと6分ほどで見つけないと、失格になる。
失格になれば先生の言う通り、ゲームは終わるかも。
そうじゃなくても、良一はゲームから抜ける。先生もわざと答えないだろうし…私たちもさすがに続けにくい。
愛海は怒るだろうけど、もう終わったほうがいいかも___なんていう、私の考えは見事に外れた。
「うーん」とまだ唸っていた良一だったが、突然ニカッと笑うと、机の中に手を突っ込んだ。
「ゴーグル!」
えっ、なんでそんなものが中にあるの?
『クリアです!』
ほぼ同時に、村井先生の舌打ちが聞こえた。



