「あのっ、幼なじみで…」


「えっ、マジで!?なんかスゴい!幼なじみとか憧れるんですけどー!」


「俺も初耳なんですけどー!」


カップルがはやし立てるので、自然とテーブルがうるさくなる。


俯く私とは裏腹に、祐希は怖い顔をしてどこかを睨みつけていて…。


「じぁ、小さい頃に一緒にお風呂に入ったりとか?」


「うん、あんまりよく憶えてないけど」


「成長した2人が偶然に再会してからの恋!ドラマみたいじゃない?」


「もう、声が大きいって」


「2人とも付き合っちゃえばー!?」


「愛海、ちょっと静かに__」


私がそこまで言った時、いきなり祐希が勢いよく立ち上がった。


「さっきからなに見てんだよ!」と。


一瞬、静まり返る店内。


でも私が振り返った先にいた柄の悪いヤンキーが、椅子を倒して一斉に立ち上がる。


「ちょっと顔、貸せや」


金髪の男が顎をしゃくり、静かに祐希がテーブルを離れた。


どう見ても相手は高校生だし、しかも4人もいる。


「えっ、やめなよ!」


咄嗟に前を通り過ぎた祐希の袖を掴んだ。


祐希は驚いたように私を見たけど、鼻でフッと笑うと、私の手を軽く掴んで引き離した。


「__心配するな」