仮面が外れて洗脳が解けたとはいえ、死り神であることに変わりはない。


いくら祐希が『守る』と言ってくれても、それは叶わないんだ。


今こうして抱き締め合っていても、すぐに別れはおとずれる。


逃れることのできない、別れが…。


だから、だから最後に__最後に、心が震えるような思い出が欲しい。


「…祐くん」


私は、祐希の目を真っ直ぐに見つめた。


するとすぐ、祐希は私の思いに気づいてくれたんだ。


「祐美、俺が絶対に守るから」


それが儚い夢だとしても、私は「ありがとう」と答えた。


視線を合わせたまま…。


ゆっくりと祐希の顔が近づいてくる。


私は静かに目を閉じた。


唇が触れる気配を感じる。


私にとって初めてのキスは、私がよく知っている幼なじみだ。


ある時を境に、避けていた幼なじみ。


でも祐希は何も変わっていなかった。


私の大好きな、祐くんだった…。


「祐美、好きだ」


「…うん、私も」


「俺が必ず__」


その時「危ない!」と、祐希に思い切り突き飛ばされた。


えっ、なに!?


尻もちをついて振り返ると、天井から死り神が舞い降りてきて__。


「ゆ、祐くん!」