「腕は大丈夫か?」


祐希が、腕の傷を心配してくれる。


「うん、私は大丈夫」


精一杯の笑顔で答えるけど、心の中は乱れていた。


だって、さっき死り神を刺し殺したんだ。


ということは、クラスメイトの【み】から始まる名前の誰かを…。


「俺にウソはつくな」


「──えっ?」


「手、震えてんぞ」


そう言って、祐希が私の手を包み込んだ。


それはとても暖かくて。


「無理するな、泣いたっていい」


「祐、くん…」


「俺の前で無理するなよ」


引き寄せられ、祐希の胸にすっぽり抱き締められた。


涙が溢れる。


とめどなく溢れてくる。


「心配するな」


優しい声だった。


「俺が祐美を守るから」


「ううっ…」


強く抱き締められれば抱き締められるほど、涙は止まらない。


大きな切なさが込み上げてくるんだ。


死りとりゲームからは逃れられない。


クリアする条件は2つ。


しりとりに成功するか、失敗した後に襲ってくる死り神を殺すこと。


たとえ死り神が10人いたとしても、10人全てを殺せば現実世界に戻ることができる。


いたって簡単なルールだけど…。


祐希も死り神なんだ。