えっ、殺す!?


そんなの、うそでしょ!?


「なんかひどくない?」


いつもは空気を読まない愛海も、そう言っておし黙る。


重苦しい沈黙が広がるのは、祐希がその場から動かないからだ。


生きている『うさぎ』がダメなんだから、早く校舎内に戻って【う】のつくものを探したほうがいい。


それなのに、なんで動こうとしないの?


「おい祐希、お前まさか__?」


良一の言葉を無視して、祐希がうさぎ小屋の中に入った。


「えっ、ちょっと!?」


思わず声を上げた私は、こみ上げてくる冷たいものを止めることができなかった。


祐希の不敵な微笑みに寒気がしたんだ。


やっぱり、私の知っている祐くんはもう居ない。


固まった皆んなの前に、うさぎを抱えた祐希が戻ってきた。


慣れた手つきで抱いているけど、そのまま首をへし折る気でいる。


止めたいけど、怖くて止められない。


「ちょっと、本気なの?」


唯一、圭子が険しい声で問いかけたが、祐希は答えることなく制服のポケットに手を入れる。


さ、刺し殺すんだ!


ナイフか何かで、うさぎを突き刺してクリアする気でいる。


や、やっぱり止めないと!