最後のしりとりは【ぺ】だ。


私はすぐに教室から飛び出した。


【ペ】から始まるものは、ちゃんと見つけてある。


階段を駆け下りて、渡り廊下を突っ走った。


クリアだ。


クリアできる!


死り神に襲われることもない。


ましてや祐希を死り神にしてしまうこともないんだ。


まだ制限時間は充分にある。


私は【技術室】に飛び込むと、工具入れを床にぶちまけた。


ドライバーにスパナ、釘が散らばる。


私があらかじめ見つけていたのは『ペンチ』だ。


祐希が、死り神となった愛海に突き刺した。


だから覚えていたんだ。


技術室にはペンチがあると__。


「ない…なんで無いの!?」


そこに『ペンチ』だけがなかった。


もしかして、愛海に刺したから?刺したままだった?


だから愛海と一緒に消えたの?


だ、ダメだ!


「ほかのものを探さないと…」


【ぺ】から始まる、学校にあるもの…?


「まだ時間はある、充分にある」と自分に言い聞かせて__。


「ペンキ!ペンキならあるはず!」


手当たり次第に技術室を探したけど、それらしいものは見つからない。


「ぺ、ぺ…ペットボトル!」


私は近くの教室に駆け込み、ゴミ箱をあさる。