圭子は校舎を飛び出し、グラウンドを横切っていく。


「ちょっと、もうダメ!」


途中までついてきた愛海が、その場にしゃがみ込む。


私は駆け戻り、良一とともに支えて圭子の元に__。


そこは『部室』だった。


「くっさ!」


顔をしかめて鼻をつまむ愛海を、息ひとつ切らさず睨みつける圭子は、あるものを取り出した。


「どう!」


それは、圭子の代名詞でもある剣道の胴着だ。


『クリアです!』


「なんでもいいけど、今度から1人で行ってよ!」


「あんたが体力なさすぎなの」


「運動バカには言われたくない!」


2人がやり合っている中、今度は祐希が走り出す。


【う】から始まるものだ。


祐希はそのまま中には戻らず、校舎脇の小屋に向かった。


なるほど。


すぐに私にも分かった。


小屋の前まで来ると「うさぎ」と言う。


そういえば、前にもうさぎ小屋に居るのを見かけたことがある。


もしかしたら、うさぎが好きだったりして?


今も、飛び跳ねるうさぎを見る目は、驚くほど優しい。


私が知っている、昔の祐くんの目だ。


しかし__。