「やばい!」


祐希が慌て出す。


誰かが見回りにきたらしい。


私たちは急いで教壇の中に隠れた。


大きな祐希だけでも狭いのに、私を抱き抱えるような態勢ですっぽりとおさまる。


ガラガラっと戸が開き、懐中電灯の光が教室を__。


ち、近い!


まだ向かい合っていないからいいけど、すぐ私の後ろに祐希がいる。


吐息が首筋にかかるたびに動きそうになる私を、がっちりホールドしていて…。


少し前まで、祐希のことを避けていたなんて信じられない。


「行ったか?」


「えっ、あっ…うん」


ドギマギしながら答えると、教壇の中から出る。


「危なかったな?」


「…うん」


祐希の顔をまともに見ることができない。


でもそれは、気まずくて視線を交わさなかったあの頃とは違くて、ただ恥ずかしかったから。


辺りが暗くて良かったと胸を撫で下ろしていたんだ。


それなのに__。


「あと1回でクリアだな」


「うん、そうだね」


ものを探す振りをして、恥ずかしさを紛らわせる。


だから、祐希が真剣な顔をしていることに気づかなかった。


「このゲームが終わったら…」


「えっ?」


そこでようやく、祐希を振り返る。