次は【ご】から始まるものだ。


普通の流れで行くと、次は確実に【ごりら】だけど?


するといきなり、良一が下唇と顎を突き出し、胸を叩き始めた。


「うほうほ!」


ご丁寧に唸り声まで上げている。


「まさか__違うよね?クオリティが低すぎるんだけど」


またもや私に耳打ちするが、剣道で鍛えられているからか、圭子の地声は大きい。


「うほほほほー!」


さらに動きを大きくし、どうやら【ごりら】の真似をしているようだ。


『認められません』


無情な判定が下る。


「なんだよ、つまんねーの」


そう吐き捨てると、良一は教室の後ろに行きあるものを指さした。


「ゴミ箱ー!」


『クリアです!』


「うっしゃー!」


良一が愛海とハイタッチをしている。


この調子なら、クリアできるんじゃないか?


「はーい次、先生の番!」


愛海が促すが、村井先生は険しい顔のまま動かない。


「先生?次は【こ】のつくものですよー?」


「先生にしりとりをやれっていうのか?」


怒っているのは明らかだった。


生徒の下らないゲームに大人が付き合わされているんだ。


初めから先生なんて誘わなきゃ良かったのに…。