『それでは、死りとりゲームを始めましょう!』


いつものアナウンスを聞いているのは、私と祐希だけとなった。


村井先生が居た頃が、もう遠い昔のように思える。


良一も圭子もいて、最初はわいわいと楽しくゲームに参加していたのに__。


もう皆んなは戻ってこない。


ゲームに参加していた圭子たちだけじゃなく、死り神となったクラスメイトも、もう…。


「祐美、いいか?」


祐希の声に我にかえった。


今は集中しないと。


いくら愛海が居なくなったとはいえ、学校にあるものでしりとりをしないといけない。


もしかしたら、難しい言葉から始まるかも。


けれど、愛海の悪意に満ちたスタートよりはマシなはずだ。


私たちは協力し合っている。


祐希は言葉にこそしなかったけど、きっと私を退会させるはずだ。


自分は最後までゲームに残って、ゲームそのものを終わらせようとしている。


クリアまではあと5回。


ここからが私たちのスタートだといってもいい。


だからできれば、最初はスムーズにクリアしたい。


どうか、優しい言葉で始まりますように…。


そんな願いを込めて、私たちはアナウンスを待った。


『それでは最初の文字は──』