「疫病神?」


「あいつは、死り神よりたちが悪い疫病神じゃないか?」


「…確かに」


素直に頷く。


順番が1番だから、難しい文字で終わったり、同じ文字で惑わせたりと、やりたい放題だった。


愛海がなにを仕掛けてくるか、いつもビクビクしていたんだ。


「それが、居なくなった。次からは俺と祐美の2人きりだ」


「あっ、そっか」


忘れていた。


退会するということは、次のゲームから愛海は居ないということ。


祐希と2人なら、しりとりなんて余裕だ。


「多分、1人になった時点でしりとりは終わるはずだ。だからあと5回クリアすれば終わる」


「あと5回…」


「それならイケるだろ?」


「うん、大丈夫だと思う」


「だからあいつのことは放っておこう。先に退会してくれて、礼が言いたいくらいだ」


「ふふっ、そうだね」


一気に気持ちが明るくなってきた。


これで死り神を殺す必要もない。


「そういえば【か】から始まる名前のやついたか?」


「か?」


「次の死り神が【か】から始まる」


古城怜華で終わったから、必然的に【か】から始まる苗字のクラスメイトになる。


「誰もいないかも?居なかったらどうなるんだろ?」


「まぁ、でもクリアすればいいことだしな」


「うん、そうだね」


私たちは頷き合って、死り神のことはすぐに頭から消えていた。