「えっ、もう退会したの!?」


「もう引っ越すしさ。バタバタするから先に退会しちゃった」


愛海がなんでもない事のように言った。


「そんな、勝手に自分だけ…」


「しょうがないじゃん、親が離婚するんだし。愛海が1番、かわいそじゃない?」


「そんなの関係ないよ!」


思わず詰め寄ろうとした私を、祐希が止めた。


「ポイントは0だ」と、スマホ画面を見せてくる。


これでまた15000ポイントまで貯めないといけない。


それでも退会できるのは1人なんだ。


「じゃ、2人で頑張ってー」


「えっ、ちょっと!」


帰ろうとする愛海にまだ言い足りないことは山ほどある。


あまりに自分勝手すぎる!


でも「帰るぞ」と、祐希に手を引かれて愛海の家を後にした。


「祐くん、腹が立たないの!?」


私が行き場のない怒りをぶつけると、祐希はにんまり笑う。


「な、なにが可笑しいのよ?」


「いや、祐美って意外と怒りっぽいんだな」


「だって!皆んなのポイントなのに、自分だけ勝手に退会するなんて…」


そのために、皆んなが犠牲になったんだ。


親が離婚するから1番先にゲームから抜けるって、いくらなんでもワガママすぎる。


「でも、これで疫病神はいなくなった」