【こ】こら始まるもので『黒板』なんて、誰が考えてもNGワードだと分かる。


ましてや愛海は【り】で終わる言葉を瞬時に探し当てたりと、言葉遊びには強い。


そんな愛海が【ん】で終わるミスを犯すはずがないんだ。


「来るぞ」


私のすぐ側で、祐希が低く呟く。


新たな死り神の狙いは、あくまで失格者の愛海だけど、巻き込まれて襲われる可能性もある。


どうしたらいいのか、その場で立ち尽くしていると、パッと明かりが戻った。


そこに、死り神がいた。


そして愛海の姿はなかった。


死り神が鎌を構えたまま、教室内を見回す。


一体、どこに__?


その時、カーテンがハラリと揺れた。


風など吹いてなどいないのに…。


そこから突然、飛び出してきた愛海が死り神に向かって手を突き出す。


ビリっと光が走る。


スタンガンだ!


バチバチと火花を散らしたスタンガンが死り神の喉元に食い込む。


死り神の手から鎌が滑り落ち__愛海が吹き飛んだ。


スタンガンは少し触れただけ。


人間なら崩れ落ちているけど、死り神は尋常じゃない力を発揮する。


そのまま愛海の首に手をかける。


ガタンっ!


しかし今度は、死り神が吹っ飛んだ。