「でも心配するな」


そう言って祐希がニカっと笑う。


小さい頃の祐希の笑顔と重なるようで…。


「あと1回クリアすれば退会できる」


「退会?」


「もうあんなふざけたゲームとはおさらばだ」


「でも愛海が…」


途中まで言いかけてやめた。


愛海がいる限り、スムーズにしりとりはできない。


いくら祐希が【り】責めを乗り越えたとしても、難しい言葉でバトンを渡してくるはずだ。


「それなら心配しなくていい」


「えっ、でも」


「あいつとも話し合った。死り神はやっぱりクラスメイトだし、もうすぐ退会もできる。だから最後の1回は俺たちに協力するらしい」


「本当に?」


「あぁ、だから今はゆっくり休めよ」


「うん…」


素直に返事をしておく。


私としては、愛海のことは信じることができない。


圭子も罠にハメたくらいだ。


また何を仕掛けてくるか…。


「じゃ、俺は行くから」


立ち上がった祐希の手を、私は思わず掴んでいた。


「あのっ、本当にありがとう」


「前にも言っただろ?」


「えっ?」


「俺が守るから」


ギュッと祐希が握ってくれた。


この温もりを私はずっと忘れない、この時に誓ったんだ。


忘れないと…。