「りー?」
愛海がこれでもか!というくらい眉を寄せる。
「りりりりりー?」
あれだけ意気込んでいたのに、いざ始まるとパニクり出すのが愛海らしい。
「えっ、やだ!なにこれ!?」とスマホに向かって叫んでいる。
私が覗き見すると、愛海のスマホの画面には【09:22】という数字がデカデカと記されていた。
制限時間なんだ。
あと9分ちょっとの間に【り】のつくものを見つけないといけない。
それも、この学校の中から…。
そう思うと、文字によっては難しいのかもしれない。
「時間切れになるとどうなるんだろ?」
「それは、失格じゃないの?」
私の問いかけに、圭子が冷静に答える。
失格…ただの失格?
そうこうしている間にも、時間は減っていく。
「りのつくものなんてない!」
早くも逆ギレし始めた愛海。
「いや、いくらでもあんじゃん!」
「えっ、教えて!」と良一に詰め寄る愛海だったが__。
『ほかの人に答えを教えた場合、両者失格となります』
「なによそれ!皆んなで協力してもいいじゃん!」
怒った愛海がスピーカーに向かって中指を突き立てている。
「あぁ、もう7分しかない!」