「なにイチャついてくれてるわけ!?」


すぐそばで、愛海が仁王立ちしていた。


「祐美、約束したよね?」と。


「違うの…これは、そんなんじゃなくて…」


私が弁解しようとしたけど、愛海は聞いていない。


どんどん制限時間がなくなっていくというのに、私のことを見下ろして罵り続ける。


「約束を破ったんだから、分かってるよね?」


「や、やめて…」


なんとか祐希を押し退け、体を起こす。


確かしりとりは【ち】から始まった。


もう愛海は【ち】から始まって【り】で終わる、学校内にあるものを見つけた?


そうじゃなかったら、こんな余裕はないはず。


「お願いだから…」


頭の痛みと寒さでぼんやりする中、私は愛海に訴えた。


「…分かった。じゃ、チャンスをあげる」


「チャンス?」


「そう、祐希くん!」


愛海が一歩、祐希に近づく。


「なんだ?」


「祐美じゃなくて、私と付き合わない?」


「お前と?なんの冗談だよ」


祐希が顔をしかめて吐き捨てる。


「あぁ、そんなこと言ってもいいのかなー?」


私を脅した時と同じように、祐希のことも脅すつもりなんだ。


しりとりをエサに、従わせようとしている。


そして従わなければ、死り神が現れるんだ。