「わ、私…こんなつもりじゃ」
圭子が2、3歩、後ずさる。
「てかさー、殺す気満々だったじゃん!」
「愛海!もういい加減にしてよ!」
「なに怒ってんのー?愛海、なにも間違ったこと言ってないし」
「いいから黙ってて!」
私が怒鳴ると、愛海はプイッと横を向く。
愛海なんて怒らせてもいい、黙っててさえいてくれたら。
そんなことより、今は圭子だ。
「私、私っ…」
嫌々をするように首を振って後ずさるけど、背中が教壇にぶつかった。
「圭子?」
「こ、このまま、ここにいる!」
「えっ!?」
「このまま現実に戻らなきゃ、戸田が死ぬことだってないんじゃ──?」
見る見るうちに、圭子の目に涙がたまっていく。
しりとりに失敗して、襲ってくる死り神を返り討ちにした。
この時点では、圭子は戦う気が満々だった。
でもそれが、自分のよく知っている相手だったことで、罪悪感に押し潰されようとしている。
現実世界に戻らないなんてこと、できるわけがない。
「俺たちが抵抗しても、元の世界に戻らされる」
「で、でも!」
圭子だって分かってるんだ。
それでも戸田が死ぬ運命を、変えようとしている。



