僕と玲ちゃんの同居は解消された。


それは、最大の繋がりがぷっつりと途絶えたといっても過言ではなかった。




 玲ちゃんが、うちに電話を入れ、そして僕には「もうすぐ秋子さんが帰ってくるから」と説明し、



別々の元の生活へ胸ぐらを掴まれるように引き戻された。



彼女は、その日からすっかり僕を赤の他人、知らない人のように振る舞うようになった。




今回ばかりは、玲ちゃんを繋ぎ止めることができなかった。彼女との細い糸はやすやすと切られてしまった。



三島洸によって。





 全ては玲ちゃんの誕生日。ケーキを買いに行った帰りに『三島 洸』とその他二人に囲まれたことからだ。




 突然のことで僕はボコボコにされてしまったのだ。



いや、突然じゃなくても多分負けていた。




僕はひょろひょろだし、鍛えてもいないので、三人がかりでなくても容易く負けてしまった。




三島は僕をいたぶり「次に玲に近づいたら、殺す」と耳元で囁いた。





僕は当然、男に囁かれても嬉しくないから、というかむしろ気分が悪いので



「こんな弱い僕に玲ちゃんが奪われたら、そりゃあ悔しいよね」と嘲笑った。




そしたら、もう憤慨もいいところ、かんかんに怒った三島さんは追い討ちをかけるように僕を殴ったのだ。




 まあ、この後の流れはだいたい掴めていた。



予想はこうだった。



こうやって傷ついた僕を見た玲ちゃんが罪悪感を感じ、三島さんに僕に何もしないように頼む。




そして、自分自身を犠牲にして僕とは一切関わらない。そういうシナリオだろう、と。