「誰にやられたんだよ、なあ、佐久間」
「本当になんでもないから」
佐久間は自力で起き上がり、「ほらね」と肩をすくめた。
あまりに痛々しい傷に目を背けたくなる。どうしよう、と私は不安になった。この傷は私のせいだ。
私の甘い考えがこの結果を招いてしまったんだ。
玄関で立ち尽くす私の手を引いて、リビングへ向かい佐久間は白い箱を机の上に置いた。
「転んだ時に落としちゃったから、だいぶ不恰好なことになってると思うけど……お誕生日おめでとう玲ちゃん」
中からはとびきり甘そうで、崩れて傾いたショートケーキが出てきた。



