過保護な君の言うとおり





こういう時はどうすればいいのだ、そういう役に立つような知識は学校では教えてくれない、なんと不親切な。



こういうことを教えれくれとぶつぶつ言ったって仕方がない、



とりあえず私は家の前まで出て、佐久間がいないかなどとうろうろして見た。が、佐久間どころか人っ子一人いない。




 部屋に戻り、また右往左往してじっとしていられないために部屋中を歩き回る。




するとガチャリと玄関で鍵を差し込む音がした。




「帰ってきた」と私は若干小走りで玄関に向かった。



「ただいま〜」といういつもの呑気な声が聞こえないことに疑問を感じながら。



「おかえ……」



玄関には傷だらけになってぐったりと倒れ込む佐久間が目に入った。



「おい、大丈夫か!」


喉からヒュッと音が鳴る。ああ、なんてことだろう。


「大丈夫、ちょっと転んだだけだから……」



佐久間は咳き込みながら力ない声で言う。


まさかそんなはずはない。転んでできるような傷ではないことは、素人の私から見ても一目瞭然だった。





それに、私には佐久間がこんなになってしまう心当たりがあったから。