食べ終わると「それじゃあ、そろそろお暇しようかな」と椅子から立ち上がり帰ろうとする。
私は思わず声をかけた。
「え? お前マジでお見舞いしに来ただけなのか?」
「どういうこと? それ以外になんかあるの」
佐久間はキョトンとしていた。
「いや、腐るほどあるだろ。助けたお礼に見返りを求めるみたいな」
私がそういうと佐久間は少し浮かした腰を下ろして、難しい顔をする。
「玲ちゃん、君は一体どんな環境で生きてきたのさ。おかしなことを言うね」
「人はだいたい見返りを求めて行動するもんだろ。
損得感情が人間の根底にはある。
私はいつお前が見返りを要求するか伺ってたのに、そのまま帰ろうとするから……」
「じゃあ僕は、何か君に頼み事をしたほうが良いのかな」
私は佐久間の眉の端がわずかに吊り上がるのを見逃さなかった。
表情は和やかなものだったが、多分佐久間は私に対して怒っている。



