普段と離れすぎた、華やかな雰囲気の自分にため息をこぼしつつも、逃げられないお見合いにやってきた私。
育ての親である伯父夫妻に続いて茶室に入る。

 室内にはすでに相手のご家族が揃っており、そちらに視線を向けて驚いた。

 そこに居たのはキリッとした切れ長の目に、髪を流して整えた、綺麗としか言いようのない男性が伯父夫妻と変わりない年代のご両親と並んでいたからだ。
 
 第一印象で物申して良いのなら……。
 この人、お見合いの必要ありますか?!
 こんな美形の男の人、見たことないんですけど!!
 見た目だけで、私なんかより綺麗な女の人が寄ってくるはずだっていう美形。
 そんな見るからに相手に困らなそうな人が、なぜ、お見合い?!

 ちょっと呆けたようになってしまったが、慌てて伯父夫妻に続いて席に着く。
 すると、この和菓子屋自慢の上生菓子にお抹茶が運ばれてきて、ひとまずいただきましょう、となってまずはお菓子を頂く。
 上品な甘さのお菓子に、ついついうっとりしてしまう。
 甘いものには目がないので、ついこの場を忘れてお菓子を楽しんでいると、向かいからの視線に気づく。

 どうやら、ずっと見られていたらしい……。
 あげた顔をうつむけて、どうにか抹茶を飲み、心を落ち着けようとしていてもまだ感じる視線に、チラッと視線を上げれば、極上の笑みがお出迎え。
 恋愛にも異性にも免疫のない私には、刺激が強すぎる……。
 早くも、このお見合いを受けてしまったことに後悔をしはじめた私だった。