綾川くんが君臨する


……え? は? ……………え?

困惑しているわたしを差し置いて、綾川くんはさらにもう一歩、ユナちゃんに近づいた。


「あんた……この間の1年だよね。配信者として自分が成り上がるために、お人好しの黒鐘に当番押し付けに来た……“ユナちゃん”」


……って、いきなり何を言い出すの……っ!?

慌てて綾川くんの制服の裾を引っ張ったけど、雑に振り払われてしまった。


「黒鐘はあの日、朝から体調悪かったんだよ。なのにあんたが当番押し付けたから、放送室で倒れた」

「っ、え、そうだったんですか……っ? すみません、私、そんなの知らなくて────」


ユナちゃんの顔がさあっと青くなる。

わたしは、そこでやっと、忘れていた記憶を断片的に思い出した。