ばち、と不覚にも目が合ってしまった。


杉島くんはああ言ってたけど、特にキゲンが悪そうには見えない。
かと言って良さそうでもない。

この前みたいに何かを企む様子もない。


何を考えてるかさっぱりわからないよ。

認めたくないけどわたしはいつも綾川くんのそういう部分に惹かれてしまう。
反面、その底の知れない未知な部分に今までたくさん傷つけられたりもした。


近づくな危険、話すな危険、触れるな危険。



「……大丈夫です。そこまでして代わってほしいわけじゃな───わあっ!?」


かっこよく言い切るつもりだったのに……残念。
リカちゃんから唐突に腕を引かれたことによりまるで台詞がキマらなかった。



「代わってもらう以外ないでしょ、ほらほら行ってこい〜」


今度は背後から肩を掴んで、ぐいぐいと前に押し出される。


「リカちゃん、待っ……」


どうにかブレーキを掛けようとした寸前、ドン!と背中を突き飛ばされた。


「っ、ぎゃ、」


バランスを崩した体を支えるべく咄嗟に手をついた───そこは、綾川くんの机の上。