誰が発信したかもわからない目撃情報だけを頼りに来てしまった。信じられない。


近くにいてもいなくても綾川くんに支配されている。

きっと、遠隔から人を操る能力とか持ってるんだ。じゃないと説明つかない。

そして今頃、玉座から長い足を投げ出して、あてもなくこんなところまで来た私を見て意地悪く微笑んでるんだ。「無駄足ご苦労様」って。


目の前にそびえる宝石みたいにきらびやかな建物たちは、制服姿のわたしにはあまりにも不釣り合い。

……………帰ろう。

だいたい、こんなところに綾川くんがいるわけ─────


その直後、息を呑む。

…………いた。綾川くん。

心臓がばくはつしたみたいに大きく跳ねた。