結局、送信せずにスマホをスクバに戻した。
友だちでもなければ恋人でもない。
綾川くんとの距離感、いまだにわかんないよ。
あれから休み時間のたびにスマホを確認してたけど、放課後になっても既読はつかなかった。
スマホを触る気力もないほど重症だったらどうしよう……。
クラスメイトが帰ってしまった教室でひとり青ざめていたとき。
「黒鐘さん」
扉付近からとつぜん声がしたかと思えば、風間くん。
「どうしたの、まだ帰んないの?」
「あ……か、帰るよ。風間くんは?」
「オレは今から生徒会の集まり。会議で使うプリント忘れて戻ってきた」
「そうだったんだ。生徒会いつも忙しそうだね、お疲れ様」
風間くんが机の中をガサゴソと漁るのを横目に、私はあくまで今思い出したように「そういえば」と切り出した。
「綾川くんて、……どこに住んでるか知ってる?」
「綾川? さあ……。あ、でもC区の並木坂で見かけたっていう目撃情報けっこう聞いたことあるかも」
友だちでもなければ恋人でもない。
綾川くんとの距離感、いまだにわかんないよ。
あれから休み時間のたびにスマホを確認してたけど、放課後になっても既読はつかなかった。
スマホを触る気力もないほど重症だったらどうしよう……。
クラスメイトが帰ってしまった教室でひとり青ざめていたとき。
「黒鐘さん」
扉付近からとつぜん声がしたかと思えば、風間くん。
「どうしたの、まだ帰んないの?」
「あ……か、帰るよ。風間くんは?」
「オレは今から生徒会の集まり。会議で使うプリント忘れて戻ってきた」
「そうだったんだ。生徒会いつも忙しそうだね、お疲れ様」
風間くんが机の中をガサゴソと漁るのを横目に、私はあくまで今思い出したように「そういえば」と切り出した。
「綾川くんて、……どこに住んでるか知ってる?」
「綾川? さあ……。あ、でもC区の並木坂で見かけたっていう目撃情報けっこう聞いたことあるかも」



