たぶん、意識がもうろうとしながらも頑張ってひとりで帰ったんだろうな……とは思うけど。


そういえばあの日、ユナちゃんに放送当番を変わってって言われてた……ような。


……それ以降の記憶がない。

記憶がない……けど、女の子たちの会話が本当なら……わたしの代わりに綾川くんが……?


がんばって記憶をたどってみる。


───『おれと、もっと……────』


ふと、断片的な光景が脳裏をよぎったけど、すぐに泡みたいに弾けて消えてしまった。


うう……なんかすごくモヤモヤする……。


なにはともあれ、状況的に綾川くんが放送してくれたのは間違いなさそう。

あとで綾川くんが登校してきたら、事実確認してお礼を言わなくちゃ。



────綾川くんの概要その5。

病人相手には、ちょっぴり優しい(暫定)。