「こんなのどこから持ってきたの?」
「おれの」
「えっ私物? 綾川くんの?」
「そう、いつも持ち歩いてる」
「いつも? えぇ、なんで軍……手袋なんか」
「指紋残したくないときとか便利」
潔癖、なのかな?
でも、わたしには普通にべたべたしてくるよね。
刑事ドラマとかの影響?
綾川くん、ときどきこうやって無表情で妙ちきりんな発言をするけど……中二病なのかも。
「こんな高級手袋、いいの? 土汚れってたぶん洗っても完全には落ちないよ」
「いーよ。部屋にストック100ダースあるし」
「そんなに、すごいね」
12枚入が100個で……1200枚。
さすがのわたしでも鵜呑みにはしない。
持ってる手袋の数を盛ったって、なんの自慢にもならないだろうに……へんなの。
とりあえずありがたく頂戴して、早速草取りにとりかかった。
私が左端、綾川くんか右端から片していく。
思ったより土が柔らかくて、ほいほい抜けるな〜と思ってたら、
だいたい真ん中地点で綾川くんと肩が並んだ。



