「みなさん騒がしいですよー。席についてください、ホームルームを始めます」
パンパンッと手を叩いて担任の先生が入ってきた。
助かった〜と胸を撫でおろした、のもつかの間。
「ところでみなさん、今週の水曜日に県教育委員会のお偉いさん方が来校されることはご存知ですね」
そのとき、先生がちらっとわたしのほうを見た気がして、なんとなく嫌な予感がしたんだ。
「うちのクラスの花壇に雑草が茂ってきています。今日の放課後、我こそがと草取りをしてくれる人はいませんか?」
みんな、友達同士で顔を見合わせて、面倒くさいよね、部活があるしね、などのコソコソ話が飛び交う。
今日は放送当番じゃないから空いてるし、草取りくらい引き受けても全然いいけど……。
と、小さく手を挙げかけた瞬間、待ってましたとばかりに先生の視界に捉えられた。
「黒鐘さんありがとう〜。助かります」
「いえ……」
「他にも手が空いてる人がいたら、手伝ってあげてくださいね」



