うわっ、びっくりした!

ていうか風間くんて、人と話すときの距離が近い気がする……っ。



「あ、えーっと、みんなの誤解が解けてよかったね!」

「そうだね。……あれ、黒鐘さん、首のところ赤くなってるよ」

「へ?」


じいっと見つめられる。

首のところ……そういえば、なんか昨日の夜から、かゆいなって思ってたんだよね。



「虫に刺されたのかも。そんなに目立つ?」

「うん。アレに見えちゃうかもしれないし、ボタン上まで留めといたほうがいいと思う」


おもむろに伸びてきた指先が、シャツの襟に触れた。

……え?


「……これでよし、っと」


丁寧にボタンを留めてくれた風間くんがにっこり微笑む。


「あ、ありがと……ございます」


突然のことにワンテンポ遅れてお礼を返す。

教室中に密かなどよめきが起こったのが気配でわかった。

視線がわたしたちに集中してる……っ。


もうワンテンポ遅れて、ほっぺたが、かあっと熱を持つ。

赤くなった顔を隠すようにうつむいて、自分の席についたところ。