わたしは自分に向けられた感情がラブじゃないことなんてとっくに見抜いてたけど、それでもひとこと言いたい。


紛らわしいよ風間くん……!

薄々そうかなって思ってたけど、風間くんて、ちょっと天然さんなのかもしれない。


なにはともあれ、みんなの誤解が解けてよかった。

幸い、教室には綾川くんもいた。

ぼーっと窓の外を眺めてるけど、一連の会話はたぶん聞こえてたはず。



「黒鐘サン落ち込むなよー、まだこれからチャンスはあるって!」

「うぇ?」

「そうだよ、風間彼女いないんだし、ガンバ!」



安堵していたら、男の子たちにぽんぽん、と肩を叩かれた。


な、なんか勝手にわたしが失恋したみたいになってない……っ?



「あの、わたしべつに風間くんのこと……」


否定の言葉を発したときには、軍団の興味はすでに別のところに向いていて、届かず。


「ん? オレがどうしたの?」


代わりに当人が顔をのぞき込んでくる始末。