──え……。 “カチャ”?
瞬きをする。
綾川くんが、後ろ手で鍵を閉めたのだと理解するまで、少々時間を要した。
なんで鍵……。
「ねー、黒鐘」
「なに……──ん、っ」
下から噛み付くみたいに塞がれた。
びく、と肩が反応する。
とてつもなくびっくりしたのに、体は、甘い感覚にあっさりなだめられた。
「んっ…ぅ、ゃ…」
扉に押し付けられて、もう一回。
強引なはずなのに優しく包まれてるような、矛盾だらけの心地いい感覚が支配する。
背中に当たった扉がいちいち、ガタ……って揺れるのが、なんか、すごく背徳感を出してくるから。
ちょっとだけ我に返って。
「綾川くんだめっ……」
「うん、だめだよね。教室でみんなに隠れてこんなことしてさ……」
「ゃ、んんっ」
「おれと咲綾ちゃんはだめなことしてる」
ぐらん、とけだるい目眩が襲う。
入り込んだ熱が、あっという間に体を侵して力が抜けた。



