ずきり、抉られたみたいな痛みが走る。

さすがに……こんなこと言われたら……。


目の奥がじわっと熱くなる。


「…っ…ぅ、〜…」


ほんとになんでだろ。

普段、滅多なことじゃ泣かないのに、好きな人のこととなった途端に涙腺が壊れるのは。


ぼた、と大粒の雫が床にシミをつくって。

それが惨めな気持ちをよりいっそう駆り立てる。


逃げ出そうとすれば、目ざとく手を掴まれた。



「ごめん、……今のは度が過ぎてた、ね」


それから、わたしを自分側にぐいっと引き寄せる。

さっきとは180度違う、不安混じりの真面目なトーン。

圧巻の演技力、だよ。
俳優目指したほうがいいと思う。



「や、ぅう、離して」


酷いこと言われたばっかりなのに、距離が近くてどきってしちゃうのほんとに嫌。


「くっつかないでっ、人に見られたら、それこそ誤解されるじゃん」


ぐるん!と身をよじる。

直後、カチャ、と音がした。