「気をつけなね、風間のファンはこじらせた厄介なのが多いよ〜」
「そうなの? ていうか、なんでリカちゃんがそんなこと知ってるの?」
「風間みたいなキラキラ硬派な男にはねちねちどメンヘラが寄ってくるようにできてる、この世の中」
「……ほーん」
理屈はわからなくても、リカちゃんが言うならそうなんだろうと勝手に納得する。
……困った。
思えば、風間くんのファンが荒れるのは当たり前だ。
だってわたしも、綾川くんが他の人とキスしてるの想像するだけで無理だもん。
事故でも無理。
むしろ、事故だと悲しみを向ける矛先が迷子になるから余計に無理かも。
よし。
風間くんともう一度話して、とっととみんなの誤解を解かなくちゃ。
──そう決意を固めて、移動教室先の化学室に足を踏み入れた矢先。
「おーっ黒鐘サンきたー!!」
クラスの男の子たちにいきなり囲まれてびっくりする。



