(雫、ごめん……っ)

水葉は雫の止める声は聞こえましたが振り切って声の聞こえた方へ走りました。

しばらく走ると山が見えてきました。

「〜〜〜………!」

水葉がもう一度耳をすませると先ほど聞こえた声よりも少し大きく聞こえた気がしました。

(やっぱりここだ……)

水葉は大きく深呼吸をして山に1歩を踏み出しました。




(ここ…すごく暗くて不気味だ………)

1歩1歩ゆっくり進んでいきますが、周りが見えずらくて自分がどこに向かっているのか水葉には分かりませんでした。

(でも──)

水葉はクレープ屋で聞こえたか細い声を思い出し心がズキズキと痛みました。

(助けを呼んでるのかもしれない。──だから、放っておけない)