その夜、



九条さんと一緒にお父さんのもとに向かった。




にこにことご機嫌のお母さんに案内された応接間では



険しい顔をしたお父さんがムスッと座っている。



「やはり、あの見合いの席に、



彩梅を連れていくべきじゃなかった」




今更? と、ツッコミたくなる気持ちをおさえて、



九条さんと並んでお父さんに頭をさげた。




「ふたりの想いを尊重する。



節度をもって交際すればいい。



ただ、九条家と西園寺家を無視するわけにはいかない」




そんなお父さんを前に、九条さんは堂々としたものだった。




「お互いにとって、



九条家も、西園寺家も大切なものです。



ただ、彩梅さんを好きになったのは、



彩梅さんが西園寺に生まれたからではありません。




ひとりの女性として、



彩梅さんとおつきあいさせていただきたいと、



お願いに参りました」




九条さん、カッコいい……




その姿に惚れなおしつつ、



九条さんの隣でお父さんに頭を下げた。