お昼休み、ぼんやりしていたら



花江ちゃんと目が合った。




「彩梅どうしたの?」




「え?」




「最近の彩梅、おかしいよ。



朝からものすごく浮かれてたり、



どんより沈んだ顔してたり」




「ここ数日は、猛烈に落ち込んでるよね」




真希ちゃんと花江ちゃんが、



目を見合わせてうなづいている。




「そ、そんなに顔に出てる?」




「彩梅は、隠し事できないからね」




「もし、それで隠してるつもりなら、



下手くそすぎる」




うんうん、とうなづくふたりに、



がっくりと肩を落とす。




そこまで顔に出ていたなんて、情けない。




すると、真希ちゃんがハッと顔を上げる。




「あっ! もしかして、彩梅、彼氏できた?」




「え⁈」




「最近、休み時間のたびにスマホで




メッセージチェックしてるよね。



普段はスマホなんて、全然いじらないのに」



「ええ~⁈ 彩梅に彼氏⁈ 相手は?」




「はい、白状してください。西園寺彩梅さん!」




わらわらと集まってきたみんなに囲まれて、



視線を泳がせる。




「あの、K大の大学院生で……」




「大学院生⁈」




「あの、ち、ち、がうの! 彼氏じゃなくて……」




「彼氏じゃなくて、なんなの?」




「……婚約破棄を前提として、



婚約者としておつきあいしてるひと?」




「「……は?」」




「こんやく……?」