こうしてガロの脅威は去った。ティモテ姫はそののち公務で忙しい日々を送ることとなった。

魔法使いであるミモザ・ルーベックがやって来た。ガロに残された帝政期技術資料は急速に解読がすすめられ、王都には飛行機の試験機や鉄道網の計画が浮上する。ミモザ・ルーベックら体制貴族はそれを指揮していた。とはいえ余暇は必要なもの。図書室は技術書を読み解く一大セクターとなり、重要な司令塔であるインペリアルが掲げられていた。

フルーツケーキを切り分けるティモテ姫にミモザ・ルーベックがすまなそうに言った。

「今夜の蒸気オルガンはガロの技術文明なのだが」
言いづらそうにミモザ・ルーベックがいう。
「ガロの高官の保釈命令に議会がもめています」

「それはそうね」