「ね、お願い!」 綾瀬さんは、私の両手をがしっと自らの両手で握った。逃げ場を閉ざされた。 どうしよう。これ以上食い下がられても面倒だしなぁ。 「……。……わかった。そんなに言うならお願いしようかな」 「ほんと?ありがと!」 私が承諾すると、綾瀬さんはそそくさと立ち去っていった。 まぁ、古茶くんもいるし、作業が終わらない、なんてことにはならないだろうし、大丈夫だとは思うけど。 「…………?」 なぜだか、胸のあたりがもやもやした。