「……っ!この……!」 感情が昂ったお猿さんは、再び、私めがけてこぶしを振り上げた。煽り耐性ゼロかよ……と、一瞬呆れたけれど。 ──動けないんじゃ、さっきみたいに避けられるはずもない。 やっべ。しくったなぁ、完全に。適当に話合わせて、穏便に終わらせといたほうがお利口さんだったかなぁ。なーんて、ほんとに思っているわけではないけれど。 近づいてくるこぶしはスローモーションに見えた。覚悟を決めて、きゅっと目を瞑る。 そのとき。 「──お前ら、そこでなにしてんの?」 声が、響いた。