黙って一緒に堕ちてろよ


古茶くんに運ばれ、私は一旦近くの公園まできていた。


こんな奴でも、お礼は言わないと寝覚めが悪い。感謝……ちょっとは、してるし。私、そんなに恩知らずじゃないし。うん。相手がこいつっていうのが、なんとなく癪だけど。


「…………あ、」


カラカラに乾いた唇を一度舐めて湿らせ、口を開きかけた、そのとき。


「──あーあ、疲れたなー。岩倉さん思ったより重ーい」


…………こいつ。


「さいってー!女の子にそーゆーこと言う!?デリカシーってもんはないわけ!?」


女の子に体重の話は普通タブーでしょ!文句を言ってやらなければ気が済まなかったので言ってやると、


「オンナノコ……?」


目を丸くして、きょとん。一体どこに女の子がいるんだ、とでも言いたげに首を傾げたものだから、


「……いや、古茶くんが貧弱なだけなんじゃないかなー。もっと鍛えたほうがいいと思うなー!」


これ以上文句を言ったらなんだか負けた気がするので、ニッコリと、半ば投げやりに微笑んだ。


軽くいなされてどっちにしろ負けた気がしたのは気づかなかったことにする。