「──っ、!」
一瞬、からだが浮く感覚があって。
考え事をしていたせいで、反応が遅れて。受け身を取ることもできず。
ズサッ──
「……いった……」
……思いっきり、転んでしまった。
こんなに派手に転ぶの久しぶりすぎて、痛みを忘れて驚いた。高校生にもなってなにやってんだ自分は。いや、自分のせいじゃない、これは。
誰かに足を引っかけられた。と、脳が遅れて理解した。
前に倒れてひざをついたせいで、黒タイツはびりびり。すりむいたようで、ひざからは血がにじんでいた。
犯人はどうせもう逃げてんだろうな。今から追っかけても捕まんないよなぁ。追っかける気力もない。……疲れた。



