私がそれを断る前に、古茶くんは私の前のプリントの山を半分、ひょいっと取り上げた。
「……なに、そんなに意外?」
見つめていることがバレたのか、彼は、手を動かしながら聞いてくる。
「いや、だって」
「まー俺は?どっかの誰かさんと違って親切だし?優等生だし、これくらいはねー」
「…………」
普段なら応戦していたところだったけれども、ここは私が大人になってグッと我慢。思考を張り巡らせる。
そして、ひとつの可能性が思い当たった。
「──恩売ってあわよくば写真消させようって魂胆?」
「あ、バレた?」
どうせそんなことだろうと思った。ほんと、隙あらば、って感じで、気に食わないなぁ。
そういうていで作業を引き受けてくれたんだろうなってところも含めて、気に入らない。
……ほんとは、そんな親切も素直に受け取れない私が、いちばんひねくれている。



