「キスするときって、普通目ぇ閉じるものじゃね?それともなに、はじめてなの?ファーストキスなの?」


「……お前さぁ、マジ黙れ……」


煽りに反応してる精神的余裕がなくて、なんだか負けた気がする。全部古茶くんのせいだ。


私がキャパオーバーした原因は悪びれもせずに、いつもの調子でちょっかいを出してくる。


「奪っちゃった〜」


「そろそろ本気で殴る」


「うそうそ、冗談冗談。さっき思いっきりくらってんだから勘弁しろ」


古茶くんの言うさっき、とは。


先の事件のあと、限界に達した私は、クラスメートの面前で古茶くんにビンタをくらわせたのだ。