男性ふたりはチェスに興じ、女性三人はカードゲームだ。
前世のトランプとほぼ同じもので、最後にジョーカーを残した人が負けという、いわゆるババ抜きを楽しんでいた。
「ウフフ、レミリアちゃん、ジョーカーは私が持っているわ。シャッフルするわよ。さあ、どーれだ。この勝負に勝たないとポイントはあげません。よく考えてね」
どうやらただの遊びではなく、ステータスアップのためのシンシアゲームがいつの間にか始まっていたらしい。
(前世の私は裏か表かを当てるコイントスと、庭をフワフワ飛んで逃げる綿犬を制限時間内に捕まえるというゲームのふたつしかプレイできなかった。ミニゲームは十二種類とパッケージに書いてあったけど、ババ抜きもあったんだ……)
レミリアは真剣な顔で、シンシアのカードを一枚引く。
「ざーんねん! ウフフ、レミリアちゃん、もっと精進なさい」
清らかなシンシアがゲームに則ってなのか、無意識に悪役令嬢っぽいことを言った。
レミリアは面白くなさそうに頬を膨らませ、もうやめたと言い出しそうだ。
途中で投げ出されては一ポイントももらえない。


